アシックスサステナビリティについて
マテリアティとリスク・機会

企業戦略およびステークホルダーにとっての重要性の観点から、マテリアリティ(重要テーマ)を設定しており、毎年の年次レビューと包括的なレビューを3年ごとに実施し、見直しを行っています。直近では2023年に包括的なレビューが行われ、2024年に実施された年次レビューでは変更はありませんでした。
社会への価値提供・インパクトからの重要性、並びにアシックスの企業理念・戦略にとっての重要性という観点からテーマをマッピングし、できあがったマトリクスにより、アシックスが着目すべき、最も重要なテーマを明らかにしました。このマテリアリティ・マトリクスは、以下のような重要なテーマとアシックスの企業戦略とのつながりを示すものとなっています。ダブルマテリアリティ評価は、毎年サステナビリティ委員会で承認を受け、3年ごとに取締役会によって承認を受けています。
① 心身の健康
② イノベーション
③ 製品とサービスの品質
④ サプライチェーンの人権・透明性
⑤ 気候変動への対応
⑥ 循環型ビジネス
⑦ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
⑧ コーポレートガバナンスと開示
⑨ 生物多様性と水の管理
このダブルマテリアリティ評価は、アシックスが人と社会、および環境に与える影響とともに、サステナビリティ課題が事業にもたらす機会とリスクが評価の対象となりました。今後の欧州の *CSRD法制化を見据え、2025年にダブルマテリアリティ評価を実施する予定です。また、気候変動、製品とサービスの品質、サプライチェーンの人権・透明性を含む、これらのマテリアリティに対する目標・取り組みと役員報酬は連動しています。
※ CSRD:Corporate Sustainability Reporting Directive(企業サステナビリティ報告指令)
サステナビリティ活動の枠組み

サステナビリティ活動の取り組みは、事業活動を通じて人々の心と身体を健やかにする People(人と社会への貢献)と Planet(環境への配慮)という2つの柱に基づいています。
この枠組みを通じて活動を体系的に行うことにより、スポーツができる環境を守ること、および人々の心身の健康向上を目指しています。そして、ダブルマテリアリティ評価を行い「中期経営計画 2026」で示したビジネス全体の戦略と整合したものとなっています。また、いくつかの持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を目指すものともなっています。このフレームワークを活用して、これまでの実績を振り返り、「計画、実行、評価、改善」のPDCAアプローチによって、将来起こりうることに目を向けています。
People -人と社会への貢献
Planet - 環境への配慮
主要なKPIと活動内容
マテリアリティ(重要テーマ)に沿って、KPIおよび行動を策定しています。

※1 2024年度より、日本、米国、欧州、およびオーストラリアでの会員数に、中国、インド、などで展開するローカルプログラムの会員数を追加した数となっています。また、アシックスプライバシー方針に基づき、2年間使用されていないアカウントは失効となり削除されています。
※2 2023年の第4四半期と同じ基準(主として、日本、米国、欧州、およびオーストラリアの会員数、削除前)。前年比もこの数字が基準となっています。
バリューチェーンについて
バリューチェーンでのマテリアリティ
広範なバリューチェーンに組み込まれているため、影響、リスク・機会は、直接的な活動を超えたところにまで波及します。以下の表は、重要なテーマがバリューチェーン全体に与える影響を示しています。

原材料 | 環境負荷の低い素材、リサイクルまたはバイオベースのポリエステルや認定天然素材など、より持続可能な素材に切り替えています。 |
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材料加工品質 | 材料加工品質と安全の基準を満たし、生産工程における資源消費と温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。私たちは透明で公正かつ倫理的なパートナーシップを構築し、人々に力を与えます。 |
製品製造 | サプライヤーと協力して、製造時の環境負荷を低減する製品設計や、再生可能エネルギーの利用率向上、エネルギー効率の良い設備·車両の導入することなどを奨励しています。私たちは透明で公正かつ倫理的なパートナーシップを構築し、人々に力を与えます。 |
流通 | サプライヤーと協力して、環境への影響が少ないパッケージへの移行など、最も効率的な方法で製品をさまざまな市場に輸送しています。 |
販売 | 直営店の持続可能性を高めるために、エネルギー効率の向上、廃棄物の削減、安全性の向上に努めています。直営店での取り組みは、店舗設計と店舗運営に分かれます。直営店の環境配慮や安全性に関するガイドラインでは、店舗設計や店舗運営での重要な取り組みを定めています。 |
使用 | 製品の安全性と品質を重大な責務と捉え、事業全体でそれらの保証に関する方針や、国際的品質管理原則に基づくガイドラインを定め、全ての製品がお客様にとって安全であるよう努めています。 |
廃棄物とリサイクル | 廃棄物の削減と埋め立て処分ゼロの活動に取り組んでいます。全てのオフィスと配送施設で、段ボールや紙、プラスチックなどの分別リサイクルを義務付けています。また、いくつかの配送センターでは、輸送用包装材の再利用により、包装材の廃棄物化を防止しています。リサイクルが実施できない施設では、埋め立て処理ではなく焼却処理によるエネルギー回収を優先させています。 |
サステナビリティの管理

サステナビリティガバナンス体制に基づいて、事業にサステナビリティが組み込まれており、目標達成に向けた着実な発展が可能となっています。ガバナンス担当部門は、苦情処理および方針違反に対処する責任も負っています。
取締役会
CEOが議長を務めます。気候変動への対応、人権などを含む、アシックスのサステナビリティ戦略を監督し、事業へのサステナビリティの統合を進めています。最高管理責任者(CAO)とサステナビリティ部長は、サステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会からの情報をもとに、サステナビリティに関するリスクと機会について、取締役会に少なくとも年に2回報告します。
サステナビリティ委員会
CEOが議長を務めます。戦略、アクションプラン、およびマテリアリティ(重要テーマ)をレビューし、進捗を報告します。
リスクマネジメント委員会
COOが議長を務めます。優先順位の高いリスクとアクションプランをレビューし、進捗を報告します。
人権委員会
人権についての助言、人権デュー・ディリジェンスの実施状況管理、およびアシックスの人権方針アクションの有効性についての評価を行います。
グローバルコンプライアンス体制
アシックスの従業員、子会社、サプライヤー、パートナーは、機密性が保証されるグローバル内部通報システムを利用することが奨励されており、これによって、自身の悩み等を匿名で報告することができます。グローバル内部通報方針に基づき、すべての報告は地域のコンプライアンス委員会によって迅速かつ秘密裏に処理されます。重大な問題は最終的にアシックス本社のコンプライアンス委員会に報告され、適切に対応されます。これらの取り組みはGRIスタンダード対照表にも開示しています。
※ 詳細は「グローバルプライバシー方針・グローバル内部通報方針」「コーポレートガバナンス」をご参照ください
サステナビリティ方針とガイドライン
共通のサステナビリティ目標に向けて協力できるよう方針とガイドラインを設定しています。これらの方針とガイドラインは、従業員、サプライヤーおよびビジネスパートナーに、環境を守り、人々の心身の健康を保ちながら、製品を企画、製造および販売する方法を明確に示しています。方針とガイドラインを事業の中核に組み込むため、従業員やサプライヤー、ビジネスパートナーに対してもトレーニングを提供しています。
ASICS
- コミュニティエンゲージメントガイドライン
ビジネスパートナー管理(含サプライヤー)
- ビジネスパートナー管理方針(サプライヤー向け行動規範)
- CSRスタンダード
- 工場CSRコンプライアンス管理ガイド
- アシックスグローバル工場選定ガイドライン
- 委託先工場の撤退・縮小時の対応ガイドライン
- グリーン調達方針
材料調達方針
- アシックス材料選定ガイドライン
- 動物由来の材料に関する方針
- 紛争鉱物に関する方針
- リサイクル材料に関する方針
- 綿に関する方針
- 制限物質に関する方針
- サステナブルパッケージ方針
- アシックスフットウエア材料調達方針
社外からの評価

CDP
気候変動分野の最高評価である「気候変動A リスト」企業にはじめて認定されました。

CDP「サプライヤーエンゲージメント評価」において最高評価を獲得
国際NPOである CDPが実施する「サプライヤーエンゲージメント評価」においてAリスト企業となり、サプライヤーエンゲージメントリーダーに選定されました。

ESG投資指標「Dow Jones Sustainability Asia/Pacific Index」の対象銘柄に10年連続で選出
DJSIは、米国S&Pダウ・ジョーンズ社とスイスのESGアセスメント会社SAM社が共同で開発した世界の代表的なSRI指標。世界各国の企業の持続可能性(サステナビリティ)を経済・環境・社会の3つの側面から評価し、優良企業を選定するものです。

MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数の対象銘柄に引き続き選定
MSCI社は500種類以上の指標から構成されるESG(環境・社会・ガバナンス)指標を提供しています。同社のグローバル・サステナビリティ・インデックスは、対象指標の各業界内で修正時価総額の50%を占める最もESG評価の高い銘柄で構成されています。

FTSE4Good Index Series、FTSE Blossom Japan Indexの対象銘柄に引き続き選定
FTSE Russellが提供する世界の代表的なSRI指標で、世界各国の企業の持続可能性(サステナビリティ)を環境・社会・ガバナンスの3つの側面から評価し、優良企業を選定するものです。