デュー・ディリジェンス

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デュー・ディリジェンスとリスク評価

アシックスは、強制労働等の人権侵害を容認しないという方針のもと、サプライチェーン全体でのコンプライアンスを確保するため、厳格な管理体系を構築し、運用しています。アシックスは、綿製品のサプライチェーン及び移民労働者など、リスクの高い分野を注視しており、ベター・コットンとの連携を始めとして、それらの分野に対するリスク低減策も講じています。2017年からは毎年、「アシックスグループ現代奴隷制度と透明性に関する声明」で、当社の事業及びサプライチェーン上の現代奴隷と人身売買のリスクに関して私たちが執った措置とその進展を発表しています。

2025年には、一次生産委託先工場を対象とした自己評価アンケート(Self-Assessment Questionnaire:SAQ)を導入しました。労働慣行、労働環境、管理体制などに関する情報を収集し、人権リスクや潜在的課題を把握するための初期スクリーニングとして活用しています。
さらに、サプライチェーン上流の可視化を進めるため、一次生産委託先の下請け工場情報の収集・把握を進めています。これらの情報は、人権リスクの特定や優先課題の把握に活用しています。また、アシックスでは、中長期に投資をする案件へのデュー・ディリジェンスに人権の観点も組み込んでいます。この仕組みを通じて、投資事業によって負の影響を受ける人権リスクの特定等を行います。

責任ある雇用

アシックスは、約9,000人の従業員を雇用しているほか、サプライチェーンを通じて更に多くの労働者と間接的につながっています。責任ある雇用の実践には、幅広い内容の方針と具体的な行動が必要です。
アシックスは、米国アパレル·フットウェア協会および公正労働協会が共同で策定した宣言「AAFA/FLA Apparel & Footwear Industry Commitment to Responsible Recruitment」に2018年から署名しています。さらに、2023年に改頂された宣言にも署名しました。グローバルサプライチェーンでの移民労働者の潜在的な強制労働リスクに業界として積極的に取り組もうとするものです。 移民労働者の人権リスクの解決は、一企業単独での達成は非常に困難であり、私たちは業界が協調して取り組んでこそ達成されるものと考えています。こうした取組みの一環として、アシックスは責任ある雇用の推進に向けて、サプライヤーとの対話や研修を通じてノーフィーポリシー(採用手数料の労働者負担禁止)に関する理解促進にも取り組んでいます。

責任ある雇用へのコミットメント

生産委託先工場などサプライチェーン上の提携先と協力し、以下を実現させていきます。

結社と団体交渉の自由

アシックスは、ビジネスパートナー管理方針(サプライヤー行動規範)で、生産委託先工場に対し、働く人々が労働組合を組織しそれに参加する権利、及び団体交渉をする権利の認識と尊重を求めています。

児童労働

児童労働は許容できない問題の一つであるため、生産委託先工場に対し、児童労働に関与することのないよう強く求めています。

公正な賃金

アシックスは「公正な賃金」に関する業界課題を認識しています。労働者への報酬の支給は完全かつ公正に行われる必要があります。そのため、生産委託先工場への監査では賃金制度について詳しく調査しています。

苦情処理メカニズム

アシックスは生産委託先工場で働く人々、その中でも特に移民労働者の声を聞くための仕組みを構築しています。今後もその展開範囲を広げる予定です。

アシックスは2024年、工場のマネジメントと従業員間のコミュニケーション強化、職場の透明性向上、そしてより積極的な問題解決を支援するための従業員エンゲージメントおよびエンパワーメントプログラムを開始しました。この取組みの一環として、レイバー・ソリューションズ社が開発したWOVOプラットフォームを導入しました。このプラットフォームは、eラーニング、匿名の従業員アンケート、デジタル苦情処理メカニズムなどを可能にします。このプログラムは、苦情処理システムの信頼性向上、職場における対話への従業員の参加促進、そして工場が従業員の懸念事項への対応においてより主体的に行動することを可能にしました。

WOVOはカンボジア、ベトナム、台湾の戦略的重要拠点に導入されており、eラーニング、従業員アンケートおよびデジタル苦情処理機能を通じて、労働者の声の把握と職場環境の改善に活用されています。
2025年には、サプライチェーンに関連する苦情13件に対応しました。主な内容は、結社の自由、職場における行動(ハラスメントを含む)、労働・雇用慣行に関するものでした。報告された案件については適切な対応を行うとともに、必要に応じて是正措置および継続的なモニタリングを実施しています。

責任ある調達

責任ある購買慣行

アシックスは、グローバル企業の購買慣行が、サプライチェーンにおけるサプライヤーでの過剰な残業、賃金や福利厚生に関する問題、劣悪または安全性が確保されていない労働環境など、さまざまな事象に影響を与える可能性があることを認識しています。責任ある労働慣行と人権保護に関連する法令遵守の支援、及び購買慣行の改善により、このような問題を減らすことができると考えております。
人権デューデリジェンスの一環として、自社のサプライチェーン上で、購買慣行の労働者への影響を確認し、サプライヤーにおける労働環境改善を目指しています。生産を管轄する部門とサステナビリティ部門が緊密に連携し、責任ある購買慣行が確実に実行されるように努めてまいります。また、計画・フォーキャスト、デザイン・開発、価格交渉、ソーシング・発注、支払いなどは、「責任ある購買慣行」を推進する上での特に重要な項目であると考えています。これらの項目を重視し、サプライヤーと公正かつ公平な取引を実行できるよう努めております。その結果として、主要サプライヤーとは、平均15年以上の安定的な取引を継続しています。アシックスは、製造契約に記載された支払条件を遵守するよう努めており、フットウェア工場の標準的な支払期間は最長で75日です。(2026年8月現在)

重要項目として挙げた取り組み例は以下の通り。

計画・フォーキャスト

生産管理部門は、シーズンごとに、各サプライヤーと事業計画とフォーキャストの継続的な更新を行います。 各サプライヤーへの詳細なフォーキャストは、通常、各シーズン最初の生産月の3カ月前までに送ることとしており、更に生産現場で適切な労働分配ができるよう、毎月サプライヤーと連絡を取り、調整しています。

デザイン・開発

商品開発段階の無償サンプルが商品化されない場合は、その材料費を負担することとしています。

価格交渉

各サプライヤーから四半期ごとに提供される平均賃金表に基づいて人件費相当額を確認し、サプライヤーと製品の取引価格を決めています。

ソーシング・発注

毎月の発注時に、生産能力と実際の発注量を工場と調整しています。また、生産時に発生する残材料については、次の生産に使うなど残材料を出さないよう努めています。

支払い

製造契約に記載された支払条件を遵守するよう努めており、フットウェア工場の標準的な支払期間は最長で75日です。(2026年8月現在)

責任ある撤退

工場の生産縮小または撤退が発生した場合の働く人々への影響を最小限にできるよう、万一オーダー削減となる場合は、出来るだけ速やかにサプライヤーに伝えるようにしています。また、サプライヤー側で撤退や事業縮小がある場合については、理由の如何にかかわらず、事業部門が速やかに情報収集をし、手続きが法的かつ倫理的に行われるようサプライヤーとコミュニケーションをし、雇用や賃金への影響が最小限となるよう図っています。

責任ある原材料調達

アシックスは、サプライチェーンの透明性向上と責任ある調達の推進を目的として、原材料レベルでのトレーサビリティ強化に取り組んでいます。現在は、綿およびリサイクルポリエステルを優先対象としてサプライチェーン情報の可視化を進めており、原材料の由来や流通経路の把握に努めています。さらに、2026年には天然皮革についても対象を拡大し、トレーサビリティの向上を進める予定です。

サプライチェーン・トレーサビリティ・プログラム

アシックスにとって、トレーサビリティは単なるコンプライアンス遵守の取組みにとどまらず、バリューチェーン全体にわたる調達プロセスの統合、リスク管理、そして継続的な改善の基盤となります。サプライチェーン・トレーサビリティ・プログラムは、原材料から完成品までの原材料の流れをマッピング・モニタリングすることで、重要な原材料の原産地と流通経路を確認することを可能にします。これにより、課題を迅速に把握・対応することで、サステナビリティと人権尊重へのコミットメントを確実にします。

また、アシックスは、拡大する国際的な法規制への対応や、データの信頼性や透明性の確保、倫理的な調達慣行を調達の意思決定に組み込むことを目指してこのプログラムを設計しています。リアルタイムの情報や洞察を社内および外部パートナーに提供することで、サステナビリティおよびビジネス上の成果を向上させることを目指しています。最終的に、トレーサビリティを進めることで、アシックスとサプライヤーは環境影響の削減や、労働者保護を強化するだけでなく、コンプライアンスとサステナビリティの活動の進捗状況の把握にも役立ちます。

アシックスは、トレーサビリティ向上のため、TrusTraceのデジタルプラットフォームを活用しています。これにより、サプライチェーンデータの一元管理と可視化を進めています。2025年には、主要調達地域において一次生産委託先および指定された二次生産委託先を対象としたサプライチェーンマッピングを実施しました。製品レベルおよび材料レベルでのトレーサビリティ向上を進めるとともに、今後は対象原材料の拡大にも取り組んでいきます。

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