デュー・ディリジェンス

デュー・ディリジェンスとリスク評価
アシックスは、強制労働等の人権侵害を容認しないという方針のもと、サプライチェーン全体でのコンプライアンスを確保するため、厳格な管理体系を構築し、運用しています。
アシックスは、綿製品のサプライチェーン、及び移民労働者など、リスクの高い分野を注視しており、ベター·コットン·イニシアチブとの連携を始めとして、それらの分野に対するリスク低減策も講じています。2017年からは毎年、「アシックスグループ現代奴隷制度と透明性に関する声明」で、当社の事業及びサプライチェーン上の現代奴隷と人身売買のリスクに関して私たちが執った措置とその進展をで発表しています。
責任ある雇用
アシックスは、約9,000人の従業員を雇用しているほか、サプライチェーンを通じて更に多くの労働者と間接的につながっています。責任ある雇用の実践には、幅広い内容の方針と具体的な行動が必要です。
アシックスは、米国アパレル·フットウェア協会および公正労働協会が共同で策定した宣言「AAFA/FLA Apparel & Footwear Industry Commitment to Responsible Recruitment」に2018年から署名しています。さらに、2023年に改頂された宣言にも署名しました。グローバルサプライチェーンでの移民労働者の潜在的な強制労働リスクに業界として積極的に取り組もうとするものです。 移民労働者の人権リスクの解決は、一企業単独での達成は非常に困難であり、私たちは業界が協調して取り組んでこそ達成されるものと考えています。
責任ある雇用へのコミットメント
生産委託先工場などサプライチェーン上の提携先と協力し、以下を実現させていきます。
結社と団体交渉の自由
アシックスは、ビジネスパートナー管理方針(サプライヤー行動規範)で、生産委託先工場に対し、働く人々が労働組合を組織しそれに参加する権利、及び団体交渉をする権利の認識と尊重を求めています。
海外サプライチェーンにおける「結社の自由」の確保と推進のためのアシックスの取り組みについて
児童労働
童労働は許容できない問題の一つであるため、生産委託先工場に対し、児童労働に関与することのないよう強く求めています。
公正な賃金
アシックスは「公正な賃金」に関する業界課題を認識しています。労働者への報酬の支給は完全かつ公正に行われる必要があります。そのため、生産委託先工場への監査では賃金制度について詳しく調査しています。
苦情処理メカニズム
アシックスは生産委託先工場で働く人々、その中でも特に移民労働者の声を聞くための仕組みを構築しています。今後もその展開範囲を広げる予定です。
責任ある調達
責任ある購買慣行
アシックスは、グローバル企業の購買慣行が、サプライチェーンにおけるサプライヤーでの過剰な残業、賃金や福利厚生に関する問題、劣悪または安全性が確保されていない労働環境など、さまざまな事象に影響を与える可能性があることを認識しています。責任ある労働慣行と人権保護に関連する法令遵守の支援、及び購買慣行の改善により、このような問題を減らすことができると考えております。
人権デューデリジェンスの一環として、自社のサプライチェーン上で、購買慣行の労働者への影響を確認し、サプライヤーにおける労働環境改善を目指しています。生産を管轄する部門とサステナビリティ部門が緊密に連携し、責任ある購買慣行が確実に実行されるように努めてまいります。また、計画・フォーキャスト、デザイン・開発、価格交渉、ソーシング・発注、支払いなどは、「責任ある購買慣行」を推進する上での特に重要な項目であると考えています。これらの項目を重視し、サプライヤーと公正かつ公平な取引を実行できるよう努めております。その結果として、主要サプライヤーとは、平均15年以上の安定的な取引を継続しています。アシックスは、製造契約に記載された支払条件を遵守するよう努めており、フットウェア工場の標準的な支払期間は最長で75日です。(2023年10月現在)
重要項目として挙げた取り組み例は以下の通り。
計画・フォーキャスト
生産管理部門は、シーズンごとに、各サプライヤーと事業計画とフォーキャストの継続的な更新を行います。 各サプライヤーへの詳細なフォーキャストは、通常、各シーズン最初の生産月の3カ月前までに送ることとしており、更に生産現場で適切な労働分配ができるよう、毎月サプライヤーと連絡を取り、調整しています。
デザイン・開発
商品開発段階の無償サンプルが商品化されない場合は、その材料費を負担することとしています。
価格交渉
各サプライヤーから四半期ごとに提供される平均賃金表に基づいて人件費相当額を確認し、サプライヤーと製品の取引価格を決めています。
ソーシング・発注
毎月の発注時に、生産能力と実際の発注量を工場と調整しています。また、生産時に発生する残材料については、次の生産に使うなど残材料を出さないよう努めています。
支払い
製造契約に記載された支払条件を遵守するよう努めており、フットウェア工場の標準的な支払期間は最長で75日です。(2023年10月現在)
責任ある原材料調達
使用する原材料は、可能な限り持続可能なものにしたいと考えています。アシックスは、アパレル製品に使用される天然素材の一つである綿に関して、現在も使用は限定的ではありますが、2025年までに環境に配慮した持続可能な綿*調達を100%にするという目標に向けて取り組んでいます。 地理、製品、素材に関わらず、あらゆる形態の人権侵害および環境侵害を固く禁じています。アシックスは、原材料調達に関する方針を強化し、綿素材のトレーサビリティとその状況を確認するプロセスの確立に努めています。アシックスは、2019年からBetter Cotton (BC)のメンバーです。BCは、綿花サプライチェーン全体の様々な利害関係者と協力し、環境、農業コミュニティ、綿花生産地域の経済の測定可能かつ継続的な改善を促進しています。
持続可能な綿* :ベターコットン、オーガニックコットン(GOTS認証)、フェアトレード認証、リサイクルコットン(GRS認証)、コットン・メイド・イン・アフリカ(CmiA)認証、U.S.コットン・トラスト・プロトコル認証。