「TUNEGRID」によってマルチソリューションを実現 牧場のDX推進に向けた実証事業を実施

2023.04.19 PRESS

 株式会社アシックス(本社:神戸市中央区、代表取締役社長CEO兼COO:廣田康人、以下「アシックス」)は、このたび、株式会社神戸デジタル・ラボ(本社:神戸市中央区、代表取締役社長:永吉一郎、以下「KDL」)と神戸市立科学技術高等学校(所在地:神戸市中央区、校長:河野彰信、以下「科学技術高校」)とともに、一次産業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の遅れなど神戸市の課題解決に貢献すべく、神戸市立六甲山牧場におけるDXの可能性について検証しました。

 神戸市では、データやセンサ技術などの先端技術を活用して、市民や地域が抱えるさまざまな課題を解決し、市民の暮らしの質や利便性の向上をはかる「スマートシティ」の推進に取り組んでいます。本件はその一環で、スマートシティのまちづくりにつながる事業提案、事業アイデアを募集し、市民へのサービスの実証、展開を支援する「Be Smart KOBE プロジェクト」※1として実施しました。

※1 令和4年度「Be Smart KOBE」プロジェクト 事業者の選定結果
https://www.city.kobe.lg.jp/a93584/press/bsk202208.html


 今回の実証事業は、アシックスが有するLITE DXソリューション※2「TUNEGRID(チューングリッド)」のコア技術のひとつで、時間に応じた歩数を記録できるほか、受信機と連動することで、着用者の位置情報を取得できる重さ約7gの小型BLEセンサ「TUNEGRID-Cube(チューングリッド・キューブ)」を使い、六甲山牧場で乳牛2頭を対象に2022年8月から2023年1月までの約6カ月にわたり生態管理に関する調査を行いました。

 牛は妊娠・出産を経て、搾乳が可能な乳牛となります。効率的な牧場運営のためには、まず正確な発情期を知ることが重要です。おおよその発情周期は知られていますが、発情期は毎回異なるため、発情期が近づくと飼育員がたびたび確認するなど検知に労力や時間が割かれています。

 そこで今回、牛が発情期になると歩数が増加する傾向を利用し、乳牛に「TUNEGRID-Cube」を装着し、発情期の検知・予測が可能かを検証しました。

※2 アシックスが目指す「手軽に実装・利活用でき、利用者にわかりやすいデータを提供するシステム」

 

TUNEGRID


 得られたデータは、アシックスおよびKDLの社員が講師となり、科学技術高校の生徒に分析方法をレクチャーし、生徒が主体となって分析・成果を発表するなどIT教育授業にも活用しました。

TUNEGRID


 また、乳牛の行動分析目的で設置した受信機などのインフラ設備を活用し、牧場の活性化に向けた新たな活用手段の模索を目的とした、トレイルランニング、ウォーキングのタイム計測などのイベント開催や、場内への出入りを管理することで視覚障がい者や子どもを見守ることが可能かなどの検証も行いました。


TUNEGRID


 今回の実証結果から、「TUNEGRID-Cube」を使った乳牛の生態管理の調査では、発情期における歩数増加をとらえることができたほか、日々の歩数変動が少ないなど異常値による病気の早期発見など体調管理への有効活用も期待できることがわかりました。データを用いたAIによる予測分析では、予測値と実績値は高い一致を示しましたが、正確な発情期をAI予測するにはより長期間・多数のデータ収集が必要であることが分かりました。また、飼育員にも「TUNEGRID-Cube」を着用してもらうことで、歩数の可視化が働き方改革の一助になることも期待されます。

 データ分析では、高校生に実践的なデータ分析を体験してもらい、作業を通して乳牛の生体に興味を持ちながら、飼育員の就業時間や牛の利き足など、高校生の視点で分析することができました。また、神戸市内の施設や企業との接点を作ることで、市内の仕事への興味喚起にもなりました。

 トレイルランニングなどのイベントでは、参加者から「起伏が激しく、コースとしての面白さがある」、「景色が良く、また牛の横を走るといった楽しみがあり、面白かった」などの声をいただきました。また、牧場関係者からは遊休地の有効活用や集客効果の向上など牧場の活性化が期待できるとの評価をいただきました。見守り検証においては、受信機の設置場所を変えることで、見守り可能な範囲を可変させることができ、屋内外を問わず活用の可能性を感じることができました。


TUNEGRID


 「TUNEGRID」は、スポーツの競技データや日々の運動習慣を簡易に記録し、その記録を分析することができるスポーツデータ統合システムとして2020年11月に開発しました。小型センサを内蔵したシューズ、ビデオカメラ、スマートウォッチなど多様な測定ツールと連携し、それぞれから得られるデータを一元管理・分析するもので、スポーツの競技データや日々の運動習慣を分析してプレーの特徴や個人の運動量の傾向を可視化し、競技力向上や運動不足の改善、ケガのリスク軽減などの効果が期待できます。

 現在は、「TUNEGRID」を活用し、4つのシーン(「TUNEGRID For Sports」「TUNEGRID For Works」「TUNEGRID For City」「TUNEGRID For School」)における課題解決策の提供をすすめており、本実証事業では、乳牛の生態管理、実践的なIT教育、トレイルランニングなどのイベント開催、来場者見守りなど4つすべてのシーンに関わる用途に同時活用できました。

 今後も、さまざまな分野への用途拡大を目指し、企業や自治体への導入をすすめていきます。


 アシックスは、ビジョンである「スポーツでつちかった知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」の実現に向け、従来のプロダクト領域のみならずサービス領域においても積極的に事業拡大を推し進めています。今後、デジタル技術を活用した新たなスポーツの楽しみ方やソリューションを検証し、人々の健康的で豊かなライフスタイルの実現に貢献することを目指します。


〇「TUNEGRID」公式ウエブサイト
https://www.tunegrid.asics.com
本件に関するお客さまからのお問い合わせ先もこのページにあります。


【ご参考:プレスリリース】

  1. スマートシューズによる子どもの運動量測定の実証実験を開始
    スポーツや運動習慣を記録・分析するデータ統合システムを開発
    (2020年11月18日付)
    https://corp.asics.com/jp/press/article/2020-11-18-1
  2. スポーツや運動習慣を記録・分析するデータ統合システムを応用
    施設や工場における従業員の行動分析が行えるワーキングソリューションシステムを開発(2021年1月28日付)
    https://corp.asics.com/jp/press/article/2021-01-28
  3. スマートシューズによる子どもの運動量測定の実証実験を実施(2021年6月15日付)https://corp.asics.com/jp/press/article/2021-06-15-1
  4. スポーツや運動習慣を記録・分析するデータ統合システム「TUNEGRID」を実用化
    (2021年6月25日付)
    https://corp.asics.com/jp/press/article/2021-06-25
  5. アシックス、JAXAの研究提案募集に採択内定
    「TUNEGRID」を活用した有人宇宙拠点における物品管理効率化と自動化技術の実現を目指す(2022年10月21日付)
    https://corp.asics.com/jp/press/article/2022-10-21-2
  6. 「TUNEGRID」を活用した送迎バス見守り実証実験を開始(2023年1月23日付)
    https://corp.asics.com/jp/press/article/2023-01-23

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