エネルギー消費量や身体にかかる衝撃などを計測 学校法人立命館と「ファストウォーキング」の効果に関する研究を実施

2021.03.31 PRESS

 アシックスは、このたび、アシックスジャパンと包括的連携交流協定を締結している学校法人立命館と共同で、健康増進のための新たな運動方法、トレーニングコンテンツの開発を目指し、「ファストウォーキング(速歩)」の効果・効能を検証する2つの研究を実施しました。各研究は、立命館大学スポーツ健康科学部の後藤一成教授、アシックススポーツ工学研究所が研究デザインを監修し、立命館大学スポーツ健康科学部で行いました。

 「ファストウォーキング」とは、時速5〜7kmを目安にした、普段より速く歩くことを意識したウォーキングを指します。ランニングよりも筋肉への衝撃が少なく、運動効果の高い方法として、当社がいつまでも長く元気に歩いていただく秘訣をまとめた書籍「究極の歩き方」(講談社現代新書/2019年9月発売)でも推奨しています。

 1つ目の研究では、20代の男女36人の被験者を対象に、ウォーキングおよびランニング時の速度変化におけるエネルギー消費量や心拍数を計測しました。本研究ではトレッドミルを使用し、ウォーキングは時速3kmから歩き続けることができる最高速度まで、ランニングは時速5kmからこのウォーキング条件を上回る速度まで約14分間継続して行いました。

 その結果、時速7.5km以上のファストウォーキングは、同一速度でのランニング時のエネルギー消費量を上回ることが確認できました。また、時速8kmのファストウォーキングでのエネルギー消費量は、時速9.3kmでのランニングエネルギーと同程度であることが認められました。

 また、心拍数においても、時速7km以上のファストウォーキングは、同一速度でのランニングの心拍数を上回っており、心肺機能の向上が期待できることがわかりました。


 2つ目の研究では、20代の男性8人の被験者を対象に、ファストウォーキングおよびランニング時における地面反力(身体への衝撃)と筋活動量を計測しました。本研究では地面反力を測定できるフォースプレートを内蔵した特殊なトレッドミルを使用し、通常歩行(以下SW、時速4.1km±0.1km)、ファストウォーキング(以下FW、時速7.7km±0.2km)、ランニング(以下Run、時速7.7km±0.2km)の順にそれぞれ4分間行いました。(各測定の合間に3分間の休憩あり)

 その結果、ファストウォーキングは同速度のランニングに対し、上下方向への地面反力の最大値および平均値が低いことがわかりました。特に、ファストウォーキングにおける地面反力の最大値は、ランニングに対して68.2%程度にまで軽減されていました。

 また、筋活動に関しては、大腿部や臀部の筋活動の総量においてファストウォーキングと同一速度でのランニングとの間で有意差はありませんでしたが、大腿二頭筋の筋肉において通常歩行との間で有意差が認められました。つまり、ファストウォーキング時の筋肉の活動レベルは同一速度でのランニングと同程度であり、通常歩行よりも太ももの引き締め効果が期待できると考えられます。

             地面反力の比較(男性8人の平均値)


             筋活動の総量の比較(男性8人の平均値)


 今回の2つの研究結果から、時速7.5km以上のファストウォーキングは、同一速度のランニングと同等以上のエネルギー消費が期待できる一方で、身体への衝撃が少ない運動方法であり、引き締まった体づくりや体重減少などの健康増進につながる可能性が示されました。

 今後は、都市型低酸素環境下トレーニング施設「ASICS Sports Complex TOKYO BAY(アシックス スポーツコンプレックス 東京ベイ)」を活用し、低酸素下でファストウォーキングを行い、歩行速度を落とした状態でいかに運動効果が得られるかなどの検証研究を実施します。これらの研究を重ねることで、年齢やスポーツ経験の有無などを問わず、個々に適したファストウォーキングの条件確立を目指し、多くの方が手軽に実践できる方法を構築していきます。

 当社は、「健全な身体に健全な精神があれかし」を創業哲学に掲げ、世界中のすべての人々の心身の健康向上に寄与するプロダクト、サービス、環境の提供を目指しています。今後も人々の健康に関わる研究をより広い視野で推進し、さまざまな角度からお客さま一人ひとりに適した価値を提供することで、健康的で豊かなライフスタイルの実現に貢献していきます。


〇立命館大学スポーツ健康科学部の後藤一成教授のコメント

 ウォーキングが健康増進に有効であることは広く認識されていますが、ランニング(ジョギング)に比較してエネルギー消費量の少ないことが弱点として考えられてきました。一方、「ファストウォーキング(速歩)」ではエネルギー消費量が大きく増加し、その値は同一速度でのランニングを上回ることがわかってきました。また、新たに実施した研究によって、ファストウォーキングでは同一速度でのランニングに比較して接地時の地面反力が小さいことから、筋肉や腱などへの衝撃が小さいと考えられます。

 今後はさらに「ファストウォーキング」と「低酸素」を組み合わせ、安全かつ効率的に、肥満予防や代謝・血液循環の改善効果をもたらす新しいトレーニング法として提案できるのではないかと期待をしています。


【ご参考】

〇「ファストウォーキング」スペシャルサイト

「ファストウォーキング」の理解促進をはかり、実践者を増やしていくため、取り組み方や歩き方などをわかりやすくまとめています。

https://walking.asics.com/jp/ja-jp/mk/fastwalking/index.html


〇プレスリリース

学校法人立命館と低酸素環境下トレーニングに関する共同研究を実施(2019年9月2日付)

https://corp.asics.com/jp/press/article/2019-09-02

いつまでも元気に歩くための指南書「究極の歩き方」を出版(2019年9月17日付)

https://corp.asics.com/jp/press/article/2019-09-17-3


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