LIFE AT ASICS #01
文化の異なるメンバーから
得た気付き
仕事と育児の両立に
グローバルな視野を
株式会社アシックス
スポーツスタイル統括部 デザイン部
2006年入社
海外勤務時代の子育て経験と、グローバルな視点と柔軟な思考で仕事・家事・育児に奮闘している管理職の社員がいます。彼女にとって、仕事と子育てを上手に両立させるポイントや印象に残ったアドバイス、さらにアシックスの女性管理職として叶えたいこととは?
所属されている部署と
普段の仕事内容を教えてください。
スポーツスタイル統括部のデザイン部に所属し、今年1月に発足したばかりのカラー&マテリアルチームで管理職をしております。私たちのチームでは、インライン商品のカラー決めや材料選定など、上がってきた二次元のデザインを最終的な三次元の形に落とし込む工程を担当しています。ほかにも、シーズンごとのトレンドから来るコンセプトをつくり、カラーパレットや使用する材料の方向性を提案するなど、商品の世界観やストーリーをいかに表現するかという観点からカラーとマテリアルに関する業務全般を担っています。
仕事と子育ての両立について、
意識していることや
心がけていることは?
上から9歳、7歳、4歳の男の子がいるのですが、みんな元気いっぱいでいつも怒ってばかりです(笑)。そんな中で意識しているのは、無理をして仕事と子育ての両方を完璧にこなそうとしないこと。3人の子どもを育ててきた経験上、両方を完璧にやろうとすればするほど、どちらかが中途半端になることが多いように感じます。むしろ「できないこと」を早めに見つけて、その対処を先回りして考えるように心がけています。
仕事と子育てを上手に両立するには、夫婦間での協力や分担が不可欠ですが、夫もアシックス社員であり、共にフルフレックス制度を活用することで、仕事と家庭の時間をマネージすることができていると思います。
仕事と子育ての両立にあたって
難しさを感じたことはありますか?
やはり、子どもが幼くて手がかかる時期は大変です。仕事は疎かにできませんが、子どものためにやってあげなくてはいけないこともたくさんあります。そういう時は決して一人で背負い込まず、周囲に自分の状況を知ってもらい、必要であれば助けてもらえる環境を作ることが大切だと思います。特に子どもが体調を崩した時などに頼れる人や理解のある人がいてくれると大きな助けになります。私がこうして仕事をしながら3人の子どもを育てられているのは、まさに家族や会社の仲間の理解と協力があってこそです。
それともう一つ。私のチームには日本以外にもアメリカ、ヨーロッパで働くメンバーがいるので、時差も大きな問題になります。本来なら定時を過ぎたら家事や子育ての時間にあてたいところですが、私の場合は17時に仕事を切り上げ、海外とのミーティングが始まる21時までは100%子どものためだけに使う時間にするなど、メリハリをつける工夫をしています。
逆に喜びを覚えたりやりがいを
感じるのはどんな時ですか?
子育ての面では「今日はこれができるようになった」というふうに、子どもの小さな変化や成長に気づけた時でしょうか。親としてはスモールステップでも嬉しいですし、子ども達の小さな成長に励まされます。そういう意味では育児が仕事にも良い影響を与えていると思います。
実際に仕事と育児を両立させるのは難しいと思う人もいるかもしれませんが、不安や分からないことがある時こそ、周囲に発信することで解決できるケースも多いです。私たちの部署では、「子どものクラスが学級閉鎖になった」とか「妻がインフルエンザに罹ってしまった」といったプライベートのやり取りもオープンに行われています。そうした情報交換によって業務の進め方を調整できたり、仲間たちが相談に乗ってアドバイスができたりする。このようにお互いにフレキシブルに対応し合う風土が、アシックスには根付いるのではないでしょうか。
アシックスの海外オフィスでの
勤務経験もあるそうですね。
海外ではどのように仕事と子育てを
両立していましたか?
10年ほど前に勤務していたオランダでは、小さいお子さんを持つ社員の中には「水曜はパパデイ」「金曜はママデイ」と決めて、週4日勤務にする人が多くいました。それを子どもがいない社員も含めて全員が当たり前に受け入れている環境でした。私はオランダ勤務の最後の年に長男を出産しましたが、私の夫も「パパデイ」を設けて、平日の一日を家事や育児にあててくれていました。その後に転勤したアメリカでも、私は週4日勤務を選択しました。夫はフルタイムでの勤務でしたが、保育園の送り迎えに合わせたり、自分の時間を自分で調整し、仕事と家庭を両立できるフレキシブルな職場環境でした。どちらの国でも仕事と子育ての両立についての理解はかなり進んでいる印象を受けましたね。
仕事と子育ての両立について、
海外メンバーからもらった意見や
アドバイスで
参考になったものは
ありますか?
とあるミーティングで、アメリカの男性社員に言われたことが印象に残っています。彼にも小さなお子さんがいて、共働きの奥様と家事や育児を分担していました。その日は早朝のミーティングだったので「朝食でバタバタする時間にごめんね」と声をかけると「全然OKだよ」と。彼曰く「うちの子どもは自分でお皿を用意したり、トーストを焼いたり、後片付けもできるんだ。僕たちは簡単なことはなるべく本人にやらせるようにしている。最初は一緒に練習したり、見守ってあげないといけないけどね。そうすることで本人も成長するし、僕たち親の負担も減らせるんだよ」……これを聞いた時にハッとしました。
確かに、朝食や着替えの準備などは私がやってあげた方が早いですし、やってあげないといけないと思っていましたが、それではいつまで経っても“私の仕事”のまま。すぐにはできなくても、少しずつ子どもにできることをやらせてあげれば、子どもの成長にもつながる。以来、我が家でも「やれることは自分でやってみよう」という教育を積極的に取り入れるようになりました。このアドバイスは管理職としてメンバーを育成する際にも忘れないように心がけています。
管理職に就かれたばかりのことですが、
仕事と子育ての両立の仕方に
変化はありましたか?
私が入社した2006年当時と比べて、女性の管理職はだいぶ増えてきました。現在、アシックスの管理職に占める女性の割合は16%で、今後は25%にするという目標があります。私は2024年の1月から管理職になり、業務内容が変わってタスクも増えましたが、子育てとの両立に関しては今まで通り変わりはありません。むしろ負担が減って楽になっているかもしれません。というのも、私がキャリアを重ねて立場が変わっていくのと同時に、当然ながら子どもも成長しているからです。先ほどの話ではありませんが、彼ら自身でできることが増えましたし、私が忙しくしていると、その雰囲気を何となく感じ取ってくれるようにもなりました(笑)。家庭でも職場でもコミュニケーションや経験を重ねていく中でお互いを理解し常に発展できる環境を作って行けるように心がけたいと思っております。
また、私がお世話になってきた上司は、仕事と子育ての両立に関して寛容で柔軟な対応をしてくれる方たちばかりでしたので。
最後に、仕事と子育てを両立する
女性管理職として、
今後のキャリアの目標や
チャレンジしたいことを
教えてください。
自分自身のキャリアももちろんですが、これまで以上に働きやすい職場環境をいかに作るかが会社のさらなる発展につながるのではないかと感じております。
私のチームにはヨーロッパオフィスやアメリカオフィスから働くメンバーがいます。彼らの異なる知識や物事へのアプローチは刺激的な発見も多く、逆も然りで日本メンバーの視点も彼らにいい刺激を与えていると思います。
異なるバックグラウンド、言語、文化を持つ社員がますます増えるなか、グローバルな会社としてそれぞれの持っている知識や能力を最大限に発揮、尊重できる環境を作るためにも、管理職として日々努力を重ねていきたいと思っています。
*記載内容は取材当時のものです。