世界初!次世代高機能素材「セルロースナノファイバー」を活用したシューズを商品化

2018.06.01 PRESS

 アシックスは、このたび、次世代高機能素材として注目されているセルロースナノファイバー(以下「CNF」)を活用したシューズを世界で初めて商品化しました。今回のシューズは、当社を代表する高機能ランニングシューズ「GEL-KAYANO 25(ゲルカヤノ 25)」シリーズで、6月1日からグローバルで順次発売します。

 CNFは、鋼鉄の5分の1の軽さでありながら、その5倍以上の強度を有するとされるナノサイズ(1 nmは1mmの100 万分の1)の極細繊維です。植物由来であり、地球上にあるほとんどの木質資源を原料にできるため、資源的にも非常に豊富な素材です。そのため自動車、家電、塗料や繊維製品など、さまざまな分野で次世代の産業資材として注目されており、低炭素社会の実現にも貢献できる素材として、近年盛んに研究開発が行なわれています。

  今回商品化したシューズでは、靴底のミッドソール(甲被と靴底の間の中間クッション材)に新たに開発したアシックス独自のスポンジ材「FlyteFoam Lyte(フライトフォームライト)」※1を搭載しており、このスポンジ材の気泡を補強する素材としてCNFを採用しています。
 その結果、軽量性と耐久性という相反する機能を高次元で両立させることに成功し、当社従来のミッドソール材「FlyteFoam(フライトフォーム)」※2に比べ、軽量性を維持したまま、強度を約20%、耐久性を約7%高めています。
 「FlyteFoam Lyte」の開発にあたっては、CNF研究の第一人者の一人である京都大学 生存圏研究所 矢野浩之教授が、京都市産業技術研究所らとともに開発した、“京都プロセス”※3と呼ばれる革新的なCNF製造技術を応用しています。このたび、アシックスの強みである独自の材料設計や発泡成形技術を駆使することで、本プロセスを活用した世界初の実用化製品を生み出しました。

             FlyteFoam Lyteの拡大図


※1特許出願中(国際出願)

※2アシックスが2015年に独自開発したスポンジ材。当社従来のミッドソール素材「E.
 V.A.(イーブイエー)」より約55%軽量で、素材に添加した繊維でアシストすることで
 優れたクッション性と耐久性を発揮します。

※3木材細胞(紙の原料、CNF集合体)を樹脂中で混練し、ナノファイバー化と樹脂中へ
 の均一分散をワンショットで行うコストパフォーマンスに優れた手法。正式名称はパルプ
 直接混練法。

○株式会社アシックス 執行役員兼アシックススポーツ工学研究所 所長
  原野健一のコメント

 「GEL-KAYANO」シリーズは、ランナーが快適に長距離走行を実現できるよう設計されています。アシックスは、安定性やクッション性だけでなく、軽量性やフィット性などの機能を追求し、「GEL-KAYANO」シリーズを25年間進化させてきました。「GEL-KAYANO 25」の商品化は、その歩みをさらに進めることができただけでなく、次世代新規材料開発に寄与できたという点でも大変うれしく思います。 
 今後は、本材料をベースにさまざまな高機能シューズを開発し、多くの方に喜んでいただけるよう努めます。

○京都大学 生存圏研究所 矢野浩之教授のコメント
 豊富に存在する木材などの植物資源から作る軽量で高強度のセルロースナノファイバーは、持続型の脱炭素社会を支える大型産業資材として世界中で研究が進められています。今回、その特徴を活かしたCNF強化樹脂材料が世界で初めて商用化されたことは、CNF材料の開発、利用における大きな一歩といえます。これを契機に、今後、ますます様々な用途にCNF強化樹脂材料が使われていくことを期待しています。

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