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宇宙ステーション内でのトレーニング用シューズが完成

2008.03.19 PRESS

   株式会社アシックス(本社:神戸市、社長:和田清美)は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究事業「宇宙オープンラボ」で、宇宙ステーションに長期滞在する宇宙飛行士のためのトレーニング用シューズを開発し、この度完成しました。

   このトレーニング用シューズは、長期にわたる無重力条件下への滞在によって生じる抗重力筋の萎縮などの機能低下や骨密度の減少を防止するための構造を有しており、宇宙飛行士の帰還後のリハビリ期間を短縮することが期待できます。

   無重力条件下の宇宙ステーション内に長期滞在すると、脚や体幹部の抗重力筋が萎縮し、骨密度が減少することが知られています。これらの発生を防止し、体力を維持するために、宇宙飛行士はゴム状のベルトによって下方向に引っ張られ、擬似的に重力を発生させた状態でトレッドミル(ランニングマシン)上でのランニングを行います。この際に今回開発したシューズを履くことによって脚に負荷をかけられ、効果的なトレーニングが可能になります。

○写真

○宇宙ステーション内トレーニング用シューズの開発コンセプト

   地上用ランニングシューズの保護機能を省き、脚が本来有している機能を活性化させる

○宇宙ステーション内トレーニング用シューズの特徴

  • 靴底の形状を、通常のシューズと異なり、つま先部を厚く、かかと部を薄くし、ランニング時の脚への負荷を高めています。着地時の衝撃を高め、キック時の負担を高めています。
  • つま先親指を分離させた足袋状の構造で、足指を動かしやすくしています。これによって無重力条件下であまり働かない地面をつかむ力(バランスを取る力)の維持に役立ちます。
  • 無重力条件下の宇宙ステーション内で壁や床につかまって体を支えながら、片手でひも締めができる構造にしています。D環状のハトメに通した靴ひもの一端をつま先側に固定し、足首側に伸びたもう一方を引っ張ることによって、全体を均一に締め付けることができます。
  • 長期宇宙滞在では皮膚が柔らかく敏感になると言われているため、優しい肌触りの素材を履き口や裏地に使用しています。
  • 片足平均165グラム(27.0cm)と軽量です。

   当社は宇宙オープンラボの共同研究プログラムで、2005年2月より長期宇宙滞在日数の元世界記録保持者であるロシア人宇宙飛行士アウデエフ氏の協力のもと、当シューズの開発を進めてきました。今後は、JAXA等からの依頼に基づき、個々の宇宙飛行士に合わせてシューズを作製し、提供していく予定です。

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