トップメッセージ

アシックスは、1949年に創業者 鬼塚喜八郎がスポーツによる青少年の育成を通じて社会の発展に貢献することを志して興した会社です。現在の社名の由来となった創業哲学「Anima Sana In Corpore Sano(健全な身体に健全な精神があれかし)」は、世界中の人々が心身ともに健康で幸せな生活を実現してほしい、という私たちの願いそのものを表しています。この私たちの願いを、将来世代にわたり実現していくためには、健全な地球環境が必要です。

2019年末より、新型コロナウイルス感染症の猛威は世界中に広がり、私たちの生活環境を脅かしています。アシックスでは、関係当局の方針に則り、感染防止対策として、店舗の一時休業や、従業員の在宅勤務等の措置を講じて、お客様、取引先、従業員の安全の確保に努めています。また人々が在宅であっても活動的に過ごせる様にソーシャルメディアなどを通じて在宅トレーニングプログラムを提供しています。私たちは、世界中の人々が心置きなく、スポーツ、Physical Activity(体を動かすこと)を楽しみ、心身ともに健康に過ごせる日々が一日も早く来ることを願っています。

一方、昨今私たちの世界が直面している気候変動の問題はこれ以上ないほど深刻になり、スポーツの現場にも様々な影響を与えています。この課題に対処するために、企業は、環境保全を重視し、温室効果ガス排出量削減等に向けた抜本的な行動を取ることが求められています。昨年、アシックスは、Science Based Targets(SBT)として認定された温室効果ガス排出量の削減目標をさらに引き上げることを決定しました。新たな目標では、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指しており、これは、産業革命以前からの平均気温上昇を1.5度未満に抑える世界的な取り組みと歩調を合わせています。

この目標を達成するためには、会社一丸となった取り組みが不可欠です。アシックスでは、各部門の行動指針を示すロードマップを作成し、材料選定や製品設計から、再生可能エネルギーへの移行、循環型ビジネスモデルの開発まで、目標の達成に向けた具体的な取り組みを実施しています。また、昨年には、社長COOを委員長とするサステナビリティ委員会を、取締役会の諮問機関として新たに設置しました。これは、気候関連財務開示タスクフォース(TCFD)*注1への賛同と合わせて、気候変動の課題に積極的に対応すると同時に、サステナビリティへの対応を今まで以上に着実に推進していくためです。

さて、新型コロナウイルス感染症の影響で2021年に開催延期となりました東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、サステナビリティが重要なテーマの一つと位置付けられており、東京2020組織委員会では、大会が調達するすべての製品とサービスを対象に、持続可能性に配慮した調達コード*注2を策定しています。アシックスは、スポーツ用品カテゴリーで唯一の東京2020ゴールドパートナーとして、日本代表選手団のオフィシャルスポーツウェア、東京2020大会のフィールドキャスト(大会スタッフ)、シティキャスト(都市ボランティア)のユニフォーム、および公式ライセンス製品など非常にたくさんのアイテムを製造しますが、これら全てのアイテムが、サステナブルな方法で製造されるよう、調達方針を定めて運用しています。この代表的な例として、日本全国から集められた思い出のスポーツウェアを日本代表選手団のオフィシャルスポーツウェアにリサイクルする「ASICS REBORN WEAR PROJECT」を実施しました。(東京2020大会関連の取り組みにつきましては、16ページと33ページをご覧ください。)私たちは、新型コロナウイルス感染症が一刻も早く収束することを願いながら、平和の祭典として本大会が無事に開催できるよう、しっかりとサポートをして参ります。

本年は、アシックスのサステナビリティ5か年計画の最終年でもあります。過去4年間で多くの目標を達成してきましたが、私たちの活動は、そこにとどまりません。現在、 2019年末に実施したマテリアリティ分析*注3に基づいて、2030年に向けた新しい計画の策定を開始しています。こうしたサステナビリティへの取り組みは、これまでも、これからも、アシックスの経営の中核をなすものであり、私たちは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に沿って、ビジネスと地球環境の持続可能な未来に向けて努力し続けます。


代表取締役 会長CEO 尾山 基

代表取締役 社長COO 廣田 康人






*注1 気候関連財務情報タスクフォース(TCFD) 金融安定理事会(FSB)の下に設置されたタスクフォース。投資家に対し気候変動がもたらす企業の「リスク」及び「機会」とその財務的影響を把握し、開示することを狙いとした提言を発表。

*注2 持続可能性に配慮した調達コード 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会では、東京2020大会を持続可能性に配慮した大会とするため、持続可能性に配慮した運営計画を取り決め、調達活動においてもその基準として、持続可能性に配慮した調達コードを策定し、調達に関わる事業者に法令遵守、環境や人権・労働問題の防止、公正な事業慣行の推進を求めている。

*注3 マテリアリティ分析 事業活動にとって重要なサステナビリティ課題を特定するプロセス。その優先度をステークホルダーにとっての重要性及び当社の企業戦略に対する重要性に応じて評価している。