事例紹介/CASE STUDY

ダイバーシティ&インクルージョン 実践ケース
02:外国籍社員の活用

アシックスでは、外国籍やキャリア(中途)など、さまざまな経験、価値観を持つ社員を積極的に採用し、ダイバーシティを進めています。それと同時に、上司をはじめ、チームや社員がインクルージョンの視点・スキルを発揮し、“多様な人材を組織内でどう活かすのか”にも注力しています。

ここではその一例として、多様な国籍の社員が集まるメンバーに対し、上司が全員共通のルールや取り組みを導入し、誰もがチームの目標を共有できる環境をつくることでコミュニケーションを円滑にしているIT統括部ソリューションデリバリー部の実践ケースを紹介します。


IT統括部ソリューションデリバリー部の概要

IT統括部ソリューションデリバリー部は、グローバルを舞台にしたeコマースシステムの導入や開発、維持管理をはじめ、ITを活用したアシックス全体の仕組みづくりを担っています。本社をはじめ、渋谷、大阪、オランダなどに拠点があり、各チームには中国、フィリピン、シンガポール、フランス、オランダ、オーストラリアなど、さまざまな国籍の外国籍社員が在籍。マネジャーとして活躍する外国籍社員もいます。コミュニケーションは日本人も含めて基本的に英語で行われています。

さまざまな国から集まった社員をインクルードするために

【部長・K】
私がこの部署で導入したのは、ミーティングで使用するドキュメントのフォーマット化です。具体的にはPDCAサイクルと結果からの学び (Key Learnings)を記載するシンプルな構成で、時間を有効活用するだけでなく、多国籍なメンバーが同じ視点を持ってミーティングに参加する役割も担っています。そのミーティングでは、メンバーが相互理解を深めるために、「必ず一度は意見を発すること」「議事録を取ること」をルール化し、メンバーが共通意識を持てる環境をつくっています。入社数年の若手社員も多く在籍していますので、彼らがチームや仕事を理解することにも、ミーティングの2つのルールは有益だと感じています。

また、チームのゴール設定は通常マネジャーが行うものですが、私たちの部署ではメンバーがディスカッションして決めています。ゴール設定をオープンにすることで、各メンバーが共通のプライオリティを持って仕事に取り組むこと につながっています。

【マネジャー・G】
K部長のルールに加え、私たちのチームで実践しているのは スタンディングミーティングです。メンバーが集まり、立ったまま一人1分間ほど発言するコンパクトなミーティング。フレックス勤務でもメンバーが集まりやすいランチ前の11時45分に毎日行っています。「元気?」「何か問題ある?」といったように、形式にとらわれない聞き方を意識していますので、メンバーは肩肘張らずに何でも発言できる機会になっています。IT関連のプロジェクトはスピードが重要です。素早くアイデアを出して、スピーディに実現するためにも、このような場を活用し、agile development process(アジャイル開発プロセス:俊敏な開発プロセス)を実践しています。

プロジェクトのゴール設定後は、メンバーとのダイアログも大切にしています。「何が必要?」「いつまでに何をする?」といった対話形式でゴールまでのプロセスを明確にすることは、問題点や足りないスキルなどもメンバーと共有できるため、プロジェクトの効率的なマネジメントや人材育成にも役立っています。

多様な価値観から見た現在のアシックスとこれからへの期待

多くの外国籍社員とともにプロジェクトを進める同部署のメンバーには、今のアシックスはどのように映っているのでしょうか。現状の課題と、これからの組織づくりに求められることについて、K部長、Gマネジャー、同部署メンバーのFが語り合いました。

K 私たちの部署は外国籍社員が他の部署と比べて多いため、彼らを含めたメンバーが各ポジションで活躍できるよう、さまざまなルールづくりを行ってきました。その中で、私が重視したのはメンバー同士のコミュニケーションによる理解です。

F チーム内だけでなく、他部署と協働する時にも、コミュニケーションや理解が足りないと感じることがありますよね。コミュニケーションの機会を設けることはアシックス全体で取り組むべき課題だと感じています。

G K部長のさまざまなルールづくりは、メンバー同士が理解し合い、「共通の価値観」を持つという視点に立っています。それは外国籍社員の多い私たちの部署には欠かせないことですし、今後はアシックス全体に発展させていきたいですよね。K部長は2018年からは新たな取り組みとして「マイビジネスアップデート」を導入されました。

 「マイビジネスアップデート」は、メンバーが自分の仕事はもちろん、趣味のことなども含めて雑誌風にまとめたものを、メンバー同士で交換するという取り組み。会話のきっかけになればと思ってはじめました。また、同時期に「ウォーキングコンテスト」もスタートさせました。スマホアプリを使って、誰がどれだけ歩いたかを競うもので、写真もアップできるので、これも会話のきっかけになっています。Fさんが言ったコミュニケーションの機会をいろんな角度から増やせればと考え、導入しています。

G 私はこういった取り組みは大好きですよ。仕事とは直接関係ないことかもしれませんが、「コミュニケーションを大切にしたい」という価値観を部署のメンバーみんなで共有できます。私はメンバー同士のコミュニケーションという文化や土壌が、「ウォーキングコンテスト」のようなアシックスらしさを持って根付くことこそ、将来のために必要だと考えています。

F スポーツや健康といったアシックスらしさこそ、課題解決のポイントになるかもしれませんね。そういった話題だと、社員同士でコミュニケーションが取りやすいですし、お互いのこともよりわかり合えると思います。

G 一方で、円滑な社員間のコミュニケーションを阻害するものとして、「そのアイデアは誰が発言したのか」を重視してしまう傾向は、どんな組織においてもあるように思います。でも、本当に重視すべきは「誰が言ったか」ではなく「どんなアイデアか」ですよね。ディスカッションのテーマがアイデアの価値を検討するものであれば、若手・ベテラン関係なく、誰もが意見を発信できるはずです。

K 私もそう思います。そして、たとえ間違っていても、誰もが自分の意見を発信できる——それこそメンバーがインクルージョンを感じる瞬間の一つですし、アシックス全体で目指すべきです。

 私たちのような若手社員は、年長者や上司の意見に引っ張られてしまう傾向があるように思いますが、ここではいろんな人と意見交換をしながら仕事を進めることができています。意見を発信したり、意見を求められたり…といったインクルージョンの経験は、社員一人ひとりがオーナーシップを持って仕事に臨むことにつながりますし、やりがいやモチベーションにもなると思います。

 そうですね。ただ、Gマネジャーが言う通り、インクルージョンは人材の活用やコミュニケーションといった文化や土壌というものが根付いていないと、うまく進めることはできないと感じています。アシックスでも部署によって、その根付き具合にはまだ差があります。だからこそ、その差を埋め、底上げできるような組織・仕組みづくりを継続的に行うことが、アシックス全体のインクルージョンを加速させることにもつながるはずです。