アシックス プロジェクトストーリー

世界最大規模の低酸素トレーニングジムを、将来は世界へ

「ASICS Sports Complex TOKYO BAY」プロジェクトストーリー

2019年11月1日、豊洲に誕生した「ASICS Sports Complex TOKYO BAY(以下ASC)」。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の競技会場や選手村にも近い豊洲で、標高2,000〜4,000mの高地と同じ低酸素環境を再現。短時間で効率よくトレーニングできる都市型低酸素トレーニング施設としては世界最大規模であり、アスリートはもちろん、健康や美容への意識が高い人からも注目を集めています。

モノづくりやプロダクトの販売だけではなく、アシックスだからできる独自のコンテンツを創出し、ブランドの価値向上を目指すことを今後の成長のキーワードに掲げる中、ASCをコンテンツビジネスの柱にすべく、プロジェクトを主導した3名が立ち上げからオープン直後の今を語ります。

※このインタビューは2019年11月に行われました


低酸素をキーワードに、ジムに通うスタイルや目的まで変える

W:
グランドオープンからもうすぐ1ヵ月になりますが、私がこのプロジェクトに参加したのは、新入社員研修を終えた5月。まだ半年ほどしか関わっていないですが、それでも「ついにこの日を迎えた!」とオープンの前の日は興奮で眠れないほどでした。MさんとTさんにとっては、もっといろんな想いがあったでしょうね。

M:
私はプロジェクトのリーダーとして、また「ASICS Sports Complex TOKYO BAY」の運営を担う子会社アシックス・スポーツコンプレックス株式会社(以下ASC)の代表として、これまでメンバーと一緒にどんな施設にするのか、どんな風に利用してもらうのか、考えて考えて考え抜いてカタチにしてきました。オープン当日はプロジェクトの節目としてうれしい気持ちもありましたが、同時に「ここからがスタートだ」と身が引き締まる思いでした。

T:
ASCプロジェクトがスタートして約1年。本当にあっという間の1年だった…というのが私の率直な思いです。毎日が本当にバタバタで、細かいことは覚えていないくらい、これまでの9年間のアシックス歴でも一番濃い1年だったかもしれません(笑)。

W:
この施設の特長と言えば、低酸素ですよね。私は現役のスイマーでもあるので、低酸素環境下のプールで何度も泳いでいますが、短い時間でも強度を落とさず泳ぐと長時間泳ぎこむのと同じくらいのトレーニングになります。トレーニング後、低酸素ルームを出て常酸素環境に移動すると、本当に空気がおいしくて(笑)体もすごく軽く動きます。それだけ負荷の高いトレーニングができているということなんですよね。そんな私自身の実感を、これから利用したいと思っている方々に伝えていきたいと思っています。

M:
ここのトレーニングルームは、室内の酸素濃度を高度2,000〜4,000mに設定できます。低酸素環境下での運動は、陸上の長距離選手などが行っている高地トレーニングと同じ、短時間で効率よくトレーニングできることがメリット。低酸素ルームのあるトレーニングジムはこれまでもありましたが、この規模の都市型低酸素環境下トレーニング施設は世界でも「ASICS Sports Complex TOKYO BAY」だけだと思います。

T:
短時間でトレーニングできるメリットを活かして、毎日出勤前に寄って30分トレーニングする人もいますし、会社帰りに30分だけ軽く体を動かしてリフレッシュする人も。心肺機能を高めたいと音大の学生さんも先日入会されたそうです。健康はもちろん、美容への意識が高い30代の女性会員様も増えていますし、ジムに通うスタイルや目的を大きく変えていけるのではないかと考えています。

ポテンシャルを秘めた「ASICS Sports Complex TOKYO BAY」をコンテンツビジネスの柱に

W:
このプロジェクトは2018年10月から本格的に始まったと聞いています。私はまだ入社前で、オニツカタイガーの直営店スタッフとしてアルバイトしていた頃です。

M:
もともと豊洲のこのビルで、ビルの管理会社と自治体、大学などが一体となって「低酸素トレーニングジム」を作ろうという構想がありました。そこで、立ち上げ後、運営できる組織がないかと、アシックスに声が掛かったんです。 アシックスは中期経営計画「ASICS GROWTH PLAN(AGP)2020」に掲げた方針の一つ「差別化されたイノベーションの創出」に取り組んでいます。この方針は、シューズを中心としたプロダクトの製造・販売だけではなく、さまざまなスポーツイベントをはじめ、スポーツ工学とITを用いたアプリ開発、大学やアスリートとの提携・連携など、アシックスブランドの価値向上につなげるための多様なコンテンツを充実させることで、他社との差別化とアシックスのさらなる成長を目指すもの。「ASICS Sports Complex TOKYO BAY」がその方針を具体化するプロジェクトとして位置付けられたことが、低酸素トレーニングジム構想の具体化を推し進めました。 また、急ピッチで開発が進むここ豊洲は、アシックスが東京2020ゴールドパートナーである東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の競技会場や選手村にも近い立地です。大会を契機に生まれたスポーツ文化を、2020年以降も継続・発展できる “有形のレガシー(財産)”になりうるポテンシャルがここにはあると経営陣も判断しました。

T:
アシックス内のさまざまなコンテンツの取りまとめを担うスポーツコンテンツデザイン部という部署があるのですが、ここでは、少子高齢化、働き方改革、健康意識の高まりなど、変わりゆく社会の中で「アシックスはどんなコンテンツでどう社会に貢献していくのか」を検討していました。低酸素トレーニングジムという新たなコンテンツを立ち上げることで、短時間で効率のよいトレーニングが実現できれば、たとえば現代の多様な働き方の中でのオフの過ごし方にもいい影響を与えることができるのではないか…と考え、将来はコンテンツビジネスの柱とすることを目指し、プロジェクトはスタートしました。

何もないところから、まず決めたのはコンセプト

M:
スタート当初は本当に何もありませんでした。ビル2・3Fのフロアには柱があるだけ。ハコを作って、サービスを生み出すノウハウも私たちにはありませんでした。

W:
そんな状況でオープンまで1年。プロジェクトの進め方も手探りの状態だったんですね。

T:
だから、ここがどんな場所なのかを定義付け、目指すところや、そこに至るまでのプロセスを明確にすることを最優先し、まずコンセプトを決めました。「どんな施設にする?」「何を実現したい?」「どんな人に利用してもらう?」といったディスカッションを繰り返し、メンバーのいろんな夢や理想をふくらませながら…。全員の方向性を合わせるという意味もありましたし、何かを判断する時の拠りどころとなるコンセプトは必要だったんです。

M:
最初は「目指せ会員数○○○人!」といった短期的なコンセプトも候補にありました。でも、長い目で見ると、○○○人突破した後は…?となってしまう。これだけ社会がスピーディに変化する中、目先のことよりASCの役割・意味をしっかり考えた長期的な視野でコンセプトを考え直すことになり、「Crossing(クロッシング)」という言葉が生まれました。

W:
「Crossing(クロッシング)」は、アシックス創業以来の技術や経験、最新のスポーツ工学を取り入れたトレーニングメソッド、いろんなバッググラウンドを持つ人…さまざまなヒト・モノ・コトが交差(=クロス)する場所という思いを込めたものですね。

T:
そうです。でも、実は決まるまでにものすごく時間が掛かったんです(笑)。早くハコや中身を作らないと…という焦りはありました。でも、急がば回れの言葉通り、コンセプトを決めたことで一つの軸ができ、より具体的にプロジェクトを進めることができるようになりました。

W:
たとえば、車イスの方でも館内やジムを利用できるよう、廊下や段差のバリアフリー化だったり、トレーニング器具の間隔を広めに設定したり…というのも、「いろんなバックグラウンドを持つ人」というコンセプトを体現しているわけですね。

任されたことは、誰よりも考えてジャッジする

M:
とはいえ、コンセプトが決まってからも大変でしたよね。

T:
利用する人をイメージして、おおよそのフロア構成は決めていましたが、壁や天井、照明の色一つにしても、私たちにはどう選べばいいのかわかりません。設計会社の担当者や設計デザイナーとの打ち合わせではいろんな提案をいただきましたが、決めるのは私たち。わからないなりにみんなで一から勉強しましたし、アシックスの直営店を手掛けている部署にもアドバイスをもらいながら、一つひとつ決めました。

M:
何を決める時でも「利用する人がどう感じるか」という視点は必ず持つようにしましたよね。これは入会金や月会費、さまざまなオプション企画など、サービス内容を考える際でも重要視した点です。

W:
私もこの頃からプロジェクトに加わりました。最初は、法人向けプランの作成を主に担当しました。プロジェクトが進むにつれ、自分の専門分野でもあるプールの利用に関するプログラムやサービスの内容を考える役割を担い、本当にいろんなことを考えました。

M:
なかでもサービスの価格を決めるのが一番難しかったね。プロダクトなら、原価と利益を考えて決められるけど、サービスは何を基準にどう決めたらいいのかわからない。アシックスにも、そういったノウハウは少ないですから。そんな中で、Wさんは前例のない中、スイミングスクールのインストラクターだった経験を活かして、さまざまな提案してくれましたね。そのほとんどがオープン時に採用されています。新入社員の立場で自分の意見を出して、それがカタチになっていくことを経験できたことは、とても貴重だと思います。

W:
自分の考えたこと、判断したことがカタチになっていくことに、やりがいを感じますね。それが利用する人を元気にしたり、会員数の増加にもつながったりするからこそ、これからも積極的にアイデアを発信したいと思っています。

M:
私も会社から今のポジションを任されていますし、経営陣の誰よりもASCのことを考えています。現場のことを一番よく知る人間に物事のジャッジを任せるのはアシックスの社風。判断ミスや失敗は、反省はしますが、それを引きずらず、今も前のめりで取り組んでいますよ。Tさんも大小さまざまな判断の機会があったのでは?

T:
これまで経験したセールスやマーケティングの仕事でもジャッジする場面はありましたが、ASCプロジェクトではその比ではないほど私が決断したことがたくさんあります。でも、その一つひとつはコンセプトだったり、利用する人のことを考えたり、アシックスだから…という軸を持って判断していました。今振り返ると、私もすごく貴重な経験をさせてもらったんだと感じます。

M:
アシックスのグループ企業の一つ、ASCという会社の社長というポジションで、大きな判断も任せてもらっているという意味では、私もこれまで以上の経験をさせてもらっています。私は入社後、今の東京マラソンにもつながるランニングイベントのプロモーションを手掛けてきました。裁量の大きな仕事を任せてもらう機会が多く、その分、仕事の成果を左右するほどの判断を自分がしないといけない場面は何度も経験してきました。そのノウハウが今も活きていると思いますし、事業部や部署ではなく、ひとつの会社にしたということは、「ASCのことはすべて君に任せたよ」という会社からのメッセージだと理解しています。変化の激しい社会の中で、一つの事業、一つの会社を経営できる力量を持つことは、これからの時代、最も求められる能力です。だから、私は自分が経験したことと同じように、TさんやWさん、メンバーのみんなに仕事はどんどん任せていきたい。メンバー一人ひとりが思う存分に能力を発揮できる、成長できる環境を整えていきたいと考えています。

トレーニングデータを強みに、将来は世界へ

W:
ASCがオープンして数週間、会員数も増えてきて、ジムが活気づいてきましたね。私はプールを利用する人の意見を聞いたり、ジムを利用している人にどんなプログラムがあればプールを利用してみたいのかをヒアリングしたりして、アクアプログラムの充実に取り組んでいます。インストラクター経験からわかるのですが、さまざまなプログラムを通じて、参加者同士のコミュニティが生まれます。そのコミュニティの輪がどんどん広がるような仕掛け・仕組みを作ることで、会員様同士のつながりやクチコミで会員数を増やせればと考えています。

T:
会員入会前にASCの低酸素トレーニングを体験していただく機会を設けていますよね。最近では、一度体験した人の入会率はほぼ100%。特に他のジムを利用している人は、その違いを実感していただけているようです。だから、私たちの直近の目標としては、提供するサービスの充実を図ることはもちろん、まだ一般的ではない低酸素トレーニングのPRをしながら体験につなげる流れを強化したいですね。

M:
そのPRの一つとして、低酸素トレーニングで得られたデータを、アシックスのスポーツ工学研究所や連携協定している大学とともにエビデンスとしてまとめ、そのメリットを発信したいと考えています。
低酸素環境下で運動すると糖代謝が促されるため、イギリスでは糖尿病の患者に低酸素の部屋で軽い運動してもらう運動療法を取り入れていたり、動脈硬化の予防が期待できる研究成果が発表されたりと、低酸素は医療分野にまで応用できるポテンシャルがあります。そのため、データの抽出と活用はASCプロジェクトの中でも重点項目。許可をいただいたアスリートや一般会員の方からもデータを提供してもらっています。

T:
確かに医学的な研究データはありましたが、ASCで得られるデータや知見はトレーニング時のもの。ここで新たなエビデンスを得ることができれば、今後の展開を考える上で大きな強みになりますね。

M:
その強みを活かしながら、国内に大型拠点をもう1箇所、地方に小規模拠点を数箇所、将来的にはアジア、ヨーロッパ、アメリカにも進出したいと考えています。周りはできないと言うかもしれませんが、私はできると信じています。この思いを共有できる仲間をどんどん増やしながら、ASCのポテンシャルをしっかり引き出していきたいと考えています。


アシックスの世界最大級・低酸素トレーニングジム


トップアスリートが高地トレーニングを行う理由は、標高の高い低酸素環境下でのトレーニングを通して、体内に酸素を運ぶ心臓のポンプ機能を強化し、持久力の向上などを目指すため。東京・豊洲に誕生した「ASICS Sports Complex TOKYO BAY」は、約3,000m2のトレーニングエリアが標高2,000〜4,000m相当の低酸素環境下に。アシックスのスポーツ科学に基づいたトレーニングメソッドで、アスリートレベルのトレーニングを、誰でも短時間で効果的に行うことができます。

▼公式サイト
https://sports-complex.asics.com/

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東京都江東区豊洲6丁目4番20号 Dタワー豊洲2階・3階
月〜金 7:00~22:00(最終入館21:15)
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